SNSや作品投稿サイトを見ていると「これ、すごく上手だな」と思ったイラストが、実はAIで作られたものだったりすることが増えました。
絵を描く人なら複雑な気持ちになりますよね。
もちろん、AIを使うこと自体を全否定したいわけじゃないですよ。
僕も自分でイラストを描きますし、AIにイラストを描かせたりしていますし。
しかしAIイラストがここまで溢れるとクリエイターとしての「描く」という行為の価値が、どんどん軽く扱われている気がして、どうしてもモヤモヤします。
あとAIイラストはユーザーのイラストスキルも要りません。
ちょっとおかしい部分もありますが、プロンプトを入れると↓の画像を30秒で作れます。

どんな絵柄にしたいかもこちらで選べます。
下記のあげるのは一部ですが、AIに学習させれば自分でモデルを作る事ができます。

初めてAIでイラストを作った時、すごいと思ったと同時にやばいと思いました。
当時は描いたイラストを素材として販売するストックイラスト副業を始めたばかりで、「こんなん手描きで描いてるやつが勝てるわけないやろ!」と無力感に晒されました。
現在は手描きイラストとAIイラストの棲み分けが行われており、AIイラストは締め出しが行われていますが・・・

技術の進化はすごいけど置いていかれる不安もある
AIイラストの進化は正直驚くほど速いです。
MidjourneyやStable Diffusion、DALL·Eといったツールを使えば、プロのようなクオリティのイラストが、たった数十秒で生成できます。
しかも無料で。しかも無限に。
本来絵を描くには、時間も、知識も、練習も、情熱も必要です。
そのすべてをスキップして「絵」ができてしまうことに、どこかしら危機感を覚えてしまうのは、僕だけではないはずです。
著作権、スタイル盗用、倫理問題もまだグレー
やっかいなのが、「AIが何を学習しているか」が非常に不透明であるということです。
多くのAIモデルは、無数のイラスト中には個人の作品も含まれている可能性が高い画像を学習しています。
それは言ってみれば、「無断で他人の絵を使って似たものを再現してる」とも言えます。
これはイラストだけでなく、ブログでも起こっているんですが、自分が頑張って作ったものをAIがさも自分のものとして利用されるのは、ムカっとはきますよね。

人の無断使用はNGで、AIはOKなのか・・・
クリエイターが「AIに学習されること自体が嫌だ」と言うのも、当然のことだと思うのです。
使用された分こちらに収益かなにかで還元されれば、また違ったかもしれませんが、現在そんな話はありません。
あんまりAIの無断使用がひどいと、誰も絵や文章を描(書)かなくなり、AIのデータの引用元も減ることになります。



AIの餌にするために創作しているんじゃないよ!
それでもAIイラストは便利である現実
ここまで、AIイラストの危うさやモヤモヤを中心に語ってきましたが、正直に言います。
私も、AIイラストは「便利」です。
例えば、ブログのアイキャッチ画像をサクッと作りたいとき。
ちょっとした構図の参考がほしいとき。
仕事でクオリティと納期を両立させたいとき。
僕はChatGPTをメインに使っているのですが、


こんな感じでベース図面を1枚用意して、指示を与えます。
それから1分待つと、


指示の通りに、絵柄を合わせたイラストをAIが作ってくれます。
自分で描いたら20,30分かかるし、上手く描けないかもしれません。
しかしAIは短時間で、ほぼ思い通りのイラストを描いてくれます。
また指示をすれば、画像の1部分だけ修正なんてことも。
こんな感じでAIはとんでもなく役に立つのは事実です。
創作活動の“補助”として使う分には、本当に強力なツールです。


私たちは、ただ「描く人」を守りたいだけ
結局のところ、AIイラストを完全に「やめてほしい」と思う気持ちは、
「AIが悪い」からではなく、「人が描くことにもっと価値を見てほしい」という願いの裏返しなのだと思います。
描く人の努力や、積み上げてきた技術が、「AIでもっと早くできるから」という理由で軽視される。
それが悲しいだけなんです。



努力して描いたイラストより、AIの方が早いし上手だと虚しくなる
しかし描く人が全て否定されるわけではありません。
結局AIイラストも誰かが描いた作風の模倣で、描く人がいなくなれば新しいモデルも生まれません。
手描きイラストはなくならない
確かにAIイラストは誰でも作れますが、本当に思い通りのイラストを作るには指示する側も知識や経験が必要です。
作ったAIイラストの部分修正はできるのですが、AIに思った通りの指示が通らず、何度ももどかしい思いもしました。



複座な表情をしてって頼むと、機械のような感じの顔にされた事も
結局本当に思い通りのイラストを作るには自分で描くしかないんですよ。
もしくは作られたAIイラストに対して、自分で修正する。
確かにAIイラストは便利ですが、万能ではありません。
AIを拒絶するより、「線引き」を模索していきたい
今後AIイラストはますます増えていくでしょう。
イラストの作成にはスキルが必要なく、何よりAIイラスト自体が遊んでいて楽しいですから。
しかしルールや倫理、線引きは必要です。
- AI生成であることを明示すること
- 商用利用のルールをもっと明確にすること
- 作家の作品が無断学習されないような仕組みを作ること
こうした一歩一歩が、人の描く力を守ることにつながると思うんです。
無法地帯が続くと、クリエイターは本当にやる気を無くします。
一応ストックイラストでは作品の投稿の際にAI生成であることを明示する欄があります。



ただしユーザー側が自己申請しなければAIと判別できないイラストも・・・
結論:AIイラスト、やめてほしい。でも、それだけじゃ終わらせたくない。
AIイラストに対して「やめてほしい」と感じるのは、ごく自然な感情です。
AIにイラストを描かせているだけなのに、イラストレーターを名乗る人に違和感を感じるのも当然です。
でも同時に、AIを「便利だ」「助かる」と感じることも否定できません。
その矛盾の中で、私たちは模索していくしかないんだと思います。
AIに描かせる未来よりも、人が描くことを選べる未来を。
AIに任せる便利さと、人の感情がこもった作品の価値が、両立できる社会を。
描く人が報われる世界を、私はあきらめたくありません。


コメント